2011年12月6日火曜日

健全な精神は、健全な肉体に宿る
















「健全な精神は、健全な肉体に宿る」、と生前、常々言っていたのは他ならぬ文豪三島由紀夫であった。現にボディビルに打ち込んだミシマは、まるで超合金のようなバディを手にした。その柔らかいシルクのような文体とは正反対の、肉体を。


今回、ぼくはかなり情けない告白をみなさんにしなければならない。
そう、「健全な肉体」を手に入れようと先週、山に向かい、失敗したのだ。ご存知のとおり、普段東京で仕事をし、飲み、遊び、読書し、ロールケーキを食べ、防衛大臣の放言に呆れ、風呂に入って寝る生活をしていると、三島由紀夫の肉体など永遠に手に入らない。意識的に鍛えなければ、カラダは変わらないからだ。

つまり、肉体が鈍ってしまう。今現在の内閣総理大臣をみれば、よくわかる。

そうした事態を回避し、「健全な精神」に磨きをかけるべく、ぼくは最近、とある偉大なアスリートと共に陣馬山という山に向かった。標高857メートル、と大した高さではないものの、なんせ相手は「山」。先日の党首討論をみる限り、野田首相は、正直谷垣氏を内心は侮っているようにも見えたが、この大自然となると、さすがに侮れる相手ではない。

新宿から一時間、高尾山に隣接する山への第一歩を踏み込んだのは、朝9時すぎだった。ぼくの牽引役アスリートの名は、とりあえずここではトムクルーズとしておこう。トムは来年250キロのゴビ砂漠横断を計画している、偉大なるアスリートだ。陣馬山コース28キロなど、彼にとっては屁のようなものだ。「体力づくりのために、たまにはいいけどね」、と彼は爽やかに言う。


みなさんはご存知ないかもしれないが、ぼくは少し前に100キロの山越えレースを完走したことがある。あえて自慢させていただくが、この「トレイルウオーク」(小田原〜箱根〜山中湖)を終えた後のカラダは民主党の前政権のごとくボロボロだった。右足の甲は、肉まんのように膨れ上がり、股関節は旧国鉄の車両のように凍りつき、三週間は寝たきりだったのだから。

よって今回の28キロの「トレイルラン」、すなわち「山を走る」という行為はぼくにとって事実上初めてのチャレンジに等しいものだった。とはいえ、人間のカラダにしても精神にしても「シゴク」ことによってのみ成長できると確信している谷山雄二朗、天下のトムクルーズからのお誘いを断るわけにはいかない。フレッシュな山の空気を吸うことにより、斬新な発想が生まれるかもしれない。期待に胸は膨らんだ。




決行の日は、週末で晴天ということもありスタート地点の高尾山付近は、ハイキング客の高齢者や噂の「山ガール」らでごったがえしていた。そこを「こんにちはあ」「こんにちわー」と背後から声をかけながら、トムクルーズは追い抜いていくのである。ぼくもその後を追う。誰よりも爽やかに"コンニチワー"と笑顔を振りまきながら。

ハイピッチで山を駆け上がっていくため、早々と息が切れ始めたものの、30分ほど経つとそこそこ安定してきた。額も汗ばむ。青空に、緑の山々、そして日本の四季を彩どる紅葉。山ガールが多いのも無理はない、みな日本人だ、秋の風物詩、情緒を視覚的にエンジョイしに来ているのだ。都心部からわずか一時間の距離に、大自然がある奇跡の都市、TOKYO.  この知られざる武器を有効利用し、もっともっと外国人観光客を呼び込むべきだとぼくは思った。

フクシマ、放射能、というイメージが定着するあまり、来日する外国人観光客の数の伸びはあいかわらずイマイチだ。とはいえ、日本政府観光局の最新のデーターによると、今年の10月の訪日外国人数は、615,800人で前年比マイナス15.3% 。311震災直後、4月のマイナス62.5%に比べたらだいぶ回復したとはいえるが、去年よりおおよそ110,000人まだ少ないわけで納得できる数字とはいいがたい。

Jリーグの鹿島アントラーズ監督を長年務めたオリヴェイラ氏の退団が決まったが、その理由の一つが放射能だという。「鹿島はフクシマの南に位置しており、ブラジル本国の家族が心配している」ことも、退団に影響したと言われている。ぼくら日本人は、これからも原発処理、被災地の復興と多くの課題と闘っていかねばならないが、「放射能ジャパン」というイメージを覆すべく国際社会への働きかけを、1人1人が積極的に働きかけていくべきだと思う。

みなさんと一緒に、日本人としてぼくも訴えていきたい。







山に学ぶ


トムクルーズと共に、順調に山越えは進んでいた。
トレイルランナーとして、風と共にサリヌ。すでに標高650メートル地点を突破、10キロ近く山のなかを走破し、一時間以上経過していた。

アクシデントは、その直後に起こった。

山を下る最中、左足が木の根っこか何かに引っかかったのである。ぼくはアテネ/北京オリンピック金メダリスト内柴正人の背負い投げ一本を食らったかの如く、豪快に転倒してしまったのだ。その瞬間、何が起こったのかもわからなかった。起き上がり、左手をみると中指が完全に通常の「真逆の方向」を向いているではないか。ぼくは自分の目を疑った。
「ひっぱれ!ひっぱるんだ!」トムクルーズが、ヴァニラスカイならぬブルースカイの真下で、叫んだ。
彼の言う通り中指を引っ張ると、「ぽこっ」と音とともに、なんと指が「元の位置」に戻った。
「シルクde ソレイユか?」 ぼくは思わず目の前で起こった"Mission Impossible"に唖然とした。トムクルーズ曰く、ぼくは指を「脱臼」したのだという。ショックのあまり、ウルトラムーニーが必要な状態に陥った情けない筆者だが、それでもその後、歯を食いしばって陣馬山の頂点まで駆け上がった。空は晴れていたが、指は次第にもっと腫れ上がってきたためペースは格段と落ちたものの、二時間ちかくかけて14kmを登り切ったのである。


問題は、帰りの14KMだった。
トムクルーズは、「時間を計測する」と復路は1人で勝手に行ってしまったが、「脱臼負傷兵」谷山雄二朗のカラダは、どじょうのように重くなっている。頂上は肌寒かったものの、青天下の紅葉は、やはりまぶしかった。

結局ぼくは、一時間半ちかく山を下ったところにある小仏峠というポイントから道を間違え迷子になってしまったものの、なんとか無事完走し終えるこが出来た。その晩から激しい内出血が始まった。今度は、中指が「あんまん」状態に陥ったのだった。

「健全な精神は、健全な肉体に宿る」どころか、「脱臼した精神は、脱臼した肉体に宿る」とでも言おうか。

今現在も、ぼくの中指は負傷したままだが、今回のアクシデントで学んだことが一つある。


それは、有事の際にいかに正しいアクションをとることが不可欠であるか、ということに他ならない。陣馬山で転倒し、指がひん曲がってパンパース寸前だったぼくに「指を引っ張れ!」と即座に指示してくれたのは、他ならぬトムクルーズだった。彼の冷静な、確かなディレクションがなければ、無知のぼくは指が明後日の方向を向いたまま、それまで来た10kmの山道を下っていたかもしれない。となれば、「誤った処置」の結果、脱臼から生じる靭帯損傷の度合いは重度なものになっていたのではないだろうか?

仮に靭帯が伸び切った状態で下山していたら、靭帯切断につながった可能性もあろう。



知識 is money.

知恵 is money.

「沖縄少女暴行事件のことなど詳しく知りません」、と平然と答えた知識のかけらもない防衛大臣。

知識、情報が足りないTPP.



知恵不足の政権与党。



日本の靭帯が切断される前に、ぼくらは動きださねばならない。



No jintai, no strength.




Thank you. 雄乃字